熱伝導と熱伝達の違いをわかりやすく説明すると、物理現象としては、熱伝導が固体・液体・気体のうちいずれか一方の同一物質内における熱移動を指しているのに対し、熱伝達の方は、固体と液体間での熱移動を意味しています。
例えば、同じ固体である鉄の棒、木の棒、プラスチックの棒では、片側を火の中に挿入すると、物体の中に熱が伝わり熱くなりますね。
これが熱伝導であり、挿入した側からもう片方まで火の熱さが伝わる速さの値が熱伝導率になります。熱は温度の高いほうから低い方へと伝わります。
熱伝導率とは、物質固有の値(物性)を意味しますが、熱伝達率の方は、物性ではなく異なる物体同士の間での熱の移動量から計算して求められる値になります。
例えば、熱が伝わっている棒に手を触れると、棒の熱さが手の表面に伝わります。
異なる物体間の表面でやりとりされるこの熱の伝わり方を熱伝達といいます。
この定義は、ニュートンが1701年に発表した「ニュートンの冷却法則」が根拠となっており、熱をやりとりする物体の表面積が大きければ大きいほど熱伝達率は高くなります。
ちなみに熱伝達率には、表面積以外に、物体同士が触れる速度も関係します。
強制的に風を起こして熱伝達率を高めるエアコン室外機や自動車のエンジン内部のファンなどが、この性質を利用した事例であることはよく知られています。
熱伝導率の単位には、W/(m・K)、W・m-1・K-1(ワット・パー・メートル、ケルビン)が使われ、記号としては、λ、kがよく使われます。
一方、熱伝達率の単位は単位はW/(m2 K)で、記号にはh やαが使われます。
「熱伝導」と「熱伝達」の違いに関する基礎的な説明を含め、「自然対流」、「強制対流」、「対流熱伝達率」、「熱伝導度」、「熱伝導係数」といった、熱伝導・熱伝達用語について詳しく解説します。
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対流熱伝達率とは?
対流熱伝達率とは、自然対流や強制対流によって伝達される熱の比率を意味しています。
自然対流の場合、表面付近の流体が温まるにつれて流速が速くなるという特徴があり、熱伝達率を算出する前にまず流れの状態を判断する必要があります。
例えば、垂直平板の自然対流熱伝達計算を行う場合、流れ場における浮力の相対的な影響を示す無次元数である「グラスホフ数」を算出して、流れの状態を「対流なし」「層流」「乱流」の3種類の中から選択します。
グラスホフ数(Gr)を求める式は、次の通りです。
グラスホフ数の算出結果から、次のように流れの状態を判断します。
流れの状態が「層流」または「乱流」と判断された場合、動粘度と温度拡散率の比で熱伝導に関する無次元数を表し、流体の熱拡散の状態を示す値であるプラントル値(Pr)を、次の式で算出します。
その後、対流による熱伝達と液体の熱伝導の比率を示した無次元数である「ヌセルト数(Nu)」を、次の式で算出します。
対流なしの場合は、Nu=1となります。
以上の値を求めた後、熱伝達率(h)を「h = Nu×k/L」の式に基づき算出します。
自然対流の場合、表面付近の流体が温まるにつれて流速が速くなるという特徴があり、熱伝達率を算出する前にまず流れの状態を判断する必要があります。
例えば、垂直平板の自然対流熱伝達計算を行う場合、流れ場における浮力の相対的な影響を示す無次元数である「グラスホフ数」を算出して、流れの状態を「対流なし」「層流」「乱流」の3種類の中から選択します。
グラスホフ数(Gr)を求める式は、次の通りです。
Gr = (gTL^3βρ^2)/μ^2 (g=重力加速度[m/s^2]、T=温度差[K]、L=代表長さ[m]、β=体積膨張率[1/K]、ρ=密度[kg/m^3]、μ=粘性係数[Pa・s])
グラスホフ数の算出結果から、次のように流れの状態を判断します。
Gr < 1×10^5 →対流無し
1×10^5 < Gr < 1×10^9 →層流
Gr > 1×10^9 →乱流
1×10^5 < Gr < 1×10^9 →層流
Gr > 1×10^9 →乱流
流れの状態が「層流」または「乱流」と判断された場合、動粘度と温度拡散率の比で熱伝導に関する無次元数を表し、流体の熱拡散の状態を示す値であるプラントル値(Pr)を、次の式で算出します。
Pr = cμ/k (c=比熱[J/kg・K]、μ=粘性係数[Pa・s]、k=熱伝導率[W/m・K])
その後、対流による熱伝達と液体の熱伝導の比率を示した無次元数である「ヌセルト数(Nu)」を、次の式で算出します。
層流:Nu=0.56×(Gr×Pr)^(1/4)
乱流(気体):Nu=0.12×(Gr×Pr)^(1/3)
乱流(液体):Nu=0.17×(Gr×Pr)^(1/3)
乱流(気体):Nu=0.12×(Gr×Pr)^(1/3)
乱流(液体):Nu=0.17×(Gr×Pr)^(1/3)
対流なしの場合は、Nu=1となります。
以上の値を求めた後、熱伝達率(h)を「h = Nu×k/L」の式に基づき算出します。
自然対流と強制対流の違いとそれぞれの特徴
主要な熱伝達の経路である「対流」は、「自然対流」と「強制対流」とに分けられます。
自然対流とは、高温の流体や空気が低温の流体や空気を押しのけて上昇する際に発生する流れを指し、強制対流とは、機械などを使って空気や流体を移動させる際に発生する流れを意味します。
例えば、室内暖房設備の場合、暖房装置によって周辺の空気を暖め、その暖められた空気が壁を伝わって上昇し、天井などを伝わって徐々に部屋を暖めるもの(ストーブ、遠赤外線ヒーターなど)が自然対流暖房で、部屋の上部から温風を吹き出すことで部屋の温度を上昇させるもの(エアコン、石油ファンヒーターなど)が強制対流暖房です。
自然対流暖房には、気流感が少なく音も静かであるという特長がありますが、部屋の湿度を低下させる、暖房の効きが遅いなどの短所もあります。
それに対して強制対流暖房は、暖房の効きが早く、急激な温度変化にも対応できますが、気流感が気になったり、部屋を乾燥させホコリを舞い上がらせる、音が気になるといった短所も有しています。
液体の例を挙げれば、ガスコンロで鍋に入れた水を沸かすと底から徐々に温度が上がっていくのが自然対流で、ポンプや攪拌器を使って強制的に液体の流れを循環させて全体に熱が伝わるようにするのが強制対流です。
ちなみに。自然対流を「自由対流」と呼ぶ場合もあります。
対流熱伝達率の求め方は、自然体流と強制対流で異なり、自然対流の場合の無次元熱伝達率(ヌッセルト数=Nu)は、グラスホフ数(Gr)とプラントル数(Pr)の積の関数となり、強制対流の場合のヌッセルト数は、レイノルズ数(Re)とプラントル数(Pr)の関数となります。
自然対流とは、高温の流体や空気が低温の流体や空気を押しのけて上昇する際に発生する流れを指し、強制対流とは、機械などを使って空気や流体を移動させる際に発生する流れを意味します。
例えば、室内暖房設備の場合、暖房装置によって周辺の空気を暖め、その暖められた空気が壁を伝わって上昇し、天井などを伝わって徐々に部屋を暖めるもの(ストーブ、遠赤外線ヒーターなど)が自然対流暖房で、部屋の上部から温風を吹き出すことで部屋の温度を上昇させるもの(エアコン、石油ファンヒーターなど)が強制対流暖房です。
自然対流暖房には、気流感が少なく音も静かであるという特長がありますが、部屋の湿度を低下させる、暖房の効きが遅いなどの短所もあります。
それに対して強制対流暖房は、暖房の効きが早く、急激な温度変化にも対応できますが、気流感が気になったり、部屋を乾燥させホコリを舞い上がらせる、音が気になるといった短所も有しています。
液体の例を挙げれば、ガスコンロで鍋に入れた水を沸かすと底から徐々に温度が上がっていくのが自然対流で、ポンプや攪拌器を使って強制的に液体の流れを循環させて全体に熱が伝わるようにするのが強制対流です。
ちなみに。自然対流を「自由対流」と呼ぶ場合もあります。
対流熱伝達率の求め方は、自然体流と強制対流で異なり、自然対流の場合の無次元熱伝達率(ヌッセルト数=Nu)は、グラスホフ数(Gr)とプラントル数(Pr)の積の関数となり、強制対流の場合のヌッセルト数は、レイノルズ数(Re)とプラントル数(Pr)の関数となります。
熱伝導度(熱伝導率)の単位
熱量の単位には、Kcal、W、Jがあります。
Cal(カロリー)とは、1cal=4.18605J 、1J=0.238888 calと変換される熱量を意味します。
J(ジュール)は仕事量を表し、重さ1N(ニュートン)の物体を1メートル移動させたときの仕事量が1Jとなります。
W(ワット)は、1秒間にする仕事量を表す仕事率です。W(ワット)= J(ジュール)÷時間(s)=J/sとなります。
熱伝導度(熱伝導率)=λは、フーリエの法則に由来しており、キロカロリー[Kcal/m・h・℃]、ワット[W/m・K]、ジュール[J/m・h・℃]で表されます([材料内の熱の移動量]/[材料の厚さ]・[時間]・[材料両面の温度差])。[Kcal/m・h・℃]は、温度差が1℃のときに厚さ1mの物質に1時間の間に流れる熱量を表します。
代表的な材料の熱伝導率([W/m・K])は、次の通りです。数値が小さいほど断熱性に優れていることになり、1W/(m・K)=0.86kcal/(m・h・℃)でキロカロリーに換算できます。
熱伝導率は 固体>液体>気体の順序で小さくなり、断熱材はこの特徴を利用し、ごく小さな気体(空気)を使って形成されています。
Cal(カロリー)とは、1cal=4.18605J 、1J=0.238888 calと変換される熱量を意味します。
J(ジュール)は仕事量を表し、重さ1N(ニュートン)の物体を1メートル移動させたときの仕事量が1Jとなります。
W(ワット)は、1秒間にする仕事量を表す仕事率です。W(ワット)= J(ジュール)÷時間(s)=J/sとなります。
熱伝導度(熱伝導率)=λは、フーリエの法則に由来しており、キロカロリー[Kcal/m・h・℃]、ワット[W/m・K]、ジュール[J/m・h・℃]で表されます([材料内の熱の移動量]/[材料の厚さ]・[時間]・[材料両面の温度差])。[Kcal/m・h・℃]は、温度差が1℃のときに厚さ1mの物質に1時間の間に流れる熱量を表します。
代表的な材料の熱伝導率([W/m・K])は、次の通りです。数値が小さいほど断熱性に優れていることになり、1W/(m・K)=0.86kcal/(m・h・℃)でキロカロリーに換算できます。
水・・・0.024
普通合板・・・0.178
ウレタンフォーム・・・0.025
木材(杉)・・・0,087
コンクリート・・・1.6
銅・・・370
普通合板・・・0.178
ウレタンフォーム・・・0.025
木材(杉)・・・0,087
コンクリート・・・1.6
銅・・・370
熱伝導率は 固体>液体>気体の順序で小さくなり、断熱材はこの特徴を利用し、ごく小さな気体(空気)を使って形成されています。
熱伝導率(熱伝導度)と熱伝導係数
熱伝導率とは、ある物質について、熱の流れに垂直な単位面積を通って単位時間に流れる熱量を単位長さ当たりの温度勾配で割ることによって求められ、熱伝導度とも呼ばれる場合もあります。
単位は[W/m・K](ワット・パー・メートル・ケルビン)で、「λ(ラムダ)」や「k」で示されます。
熱伝導率の値が大きければ大きいほど熱が伝わりやすく、値が小さいと断熱性能が高いことになります。
熱伝導率は、高分子の分子運動性や分子配列などと強い相関性を持ち、温度や水分含量によって変化します。自由電子を持っている金属は熱伝導率が大きいという点がその特徴です。
ちなみに熱抵抗率とは、熱伝導率の逆数になります。
熱伝導率は、次の方法によって測定されます。
熱伝導の式は
熱伝導係数とは、この熱伝導率を物質の厚さで割った値を指しており、物質間の熱の伝わりやすさを表します。単位は[W/m2・K]で、熱抵抗の逆数を断面積で割ることによっても求められます。
単位は[W/m・K](ワット・パー・メートル・ケルビン)で、「λ(ラムダ)」や「k」で示されます。
熱伝導率の値が大きければ大きいほど熱が伝わりやすく、値が小さいと断熱性能が高いことになります。
熱伝導率は、高分子の分子運動性や分子配列などと強い相関性を持ち、温度や水分含量によって変化します。自由電子を持っている金属は熱伝導率が大きいという点がその特徴です。
ちなみに熱抵抗率とは、熱伝導率の逆数になります。
熱伝導率は、次の方法によって測定されます。
- レーザーフラッシュ法:熱拡散率(温度勾配により運ばれる熱エネルギーの拡散係数)と比熱容量を測定し、密度と合わせて計算する方法。
- 定常熱流法(平熱熱流計法): 温度差や熱流束から直接測定する方法。
- 熱線法: 熱線(ヒーター線)の発熱量と温度上昇量から直接測定する方法。
- 円板熱流計法:約30kの温度差で定常状態になるように試験片の上下にヒーターと熱量計を密着させ、温度差と基準熱量計の出力から測定する方法。
熱伝導の式は
「Q=kSt(T1-T2)/L 」で表されます。(Q=熱量、k=熱伝導率、S=断面積、L=厚さ)
熱伝導係数とは、この熱伝導率を物質の厚さで割った値を指しており、物質間の熱の伝わりやすさを表します。単位は[W/m2・K]で、熱抵抗の逆数を断面積で割ることによっても求められます。
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